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急性肝炎・慢性肝炎は、 ウイルス性肝炎 を指すことが原則です。
急性肝炎
短時日のうちに、風邪症状、胃腸炎症状で始まり、そのうちに肝炎を示す黄疸が急に起こります。大部分の人は1~2ヶ月のうちには症状がおさまって治癒します。
慢性肝炎
急性肝炎の後も肝障害が続くか、肝炎の症状はないが、血液検査の結果で異常値を示すという状態が、6ヶ月以上続いている場合です。(A型肝炎にはない)
ウィルスの種類によりA・B・C・D・Eに分けられますが、D・E型は日本ではほとんど発生しません。
【各ウィルス性肝炎の特徴と治療方法】
肝炎 | 特徴 | 治療・予防 | |
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A型肝炎 | ◇症状…急性肝炎を発症。初期は、発熱や吐き気をもよおし、倦怠感を伴い、やがて、黄疸の症状が現れる ◇潜伏期間…2~4週間 ◇経口感染 …ウィルスに汚染された生水や食品、特に生の貝や魚などを食べることで起こる。 旅行先(特に中国南部・東南アジア・アフリカなど)での感染が多くなっている ◇GOT,GPTが2000や3000といった数値まで上昇する ◇IgM型HA抗体検査(ウィルス検査) 陽性…最近A型肝炎ウィルスに感染していたことを示す | 免疫機構の働きによる自然治癒。体を横にした、「安静」が最も効果的。 <予防措置> • 免疫グロブリン注射 • A型肝炎ワクチン (HAワクチン) • 旅先での生水・氷、生貝・魚を食べないように注意する • 家族内での二次感染の予防 | |
B型肝炎 | ◇症状…キャリアの90%は自然に治るが、10%は徐々に悪化し、肝硬変・肝ガンに進行する ◇急性と慢性がある ◇潜伏期間…(成人)1~3ヶ月、その後急性肝炎へ(但し、抗体ができるので慢性肝炎にはならない) (子供)20年、免疫機構ができていない子供がウィルスを持ちつづけ、(キャリア)将来慢性肝炎を起こす可能性がある ◇母子感染 …出産時に母親から免疫力の弱い子供に感染 ◇輸血感染 …輸血血液にB型肝炎が混入している場合(現在は輸血用血液のチェックが厳しく、輸血感染はまずない) ◇HBs抗原検査 (ウィルス検査) 陽性…現在B型肝炎ウィルスに感染していることを示す | <治療> • インターフェロン • ステロイド・リバウンド療法 • 有機ゲルマニウム • グリチルリチン製剤 <予防措置> (母子感染) • 免疫グロブリン注射 • B型肝炎ワクチン <注意> • B型肝炎に感染していて、他の病気でステロイド薬による治療は慢性化、重症化する危険がある • 性行為で感染の可能性 • 出血したときに他人に触れない | |
C型肝炎 | ◇症状…急性から7~8割は慢性へ移行。放置すると肝硬変・肝ガンへ進む恐れあり ◇全体の50%は感染源を特定できず ◇輸血感染 …輸血血液にB型肝炎が混入している場合(現在は輸血用血液のチェックが厳しく、輸血感染は激減) ◇HCV抗体検査(ウィルス検査) 陽性…大多数は現在、少数として過去にC型肝炎ウィルスに感染してことを示す ◇HCV-RNA検査(ウィルス検査) 陽性…現在C型肝炎ウィルスに感染していることを示す | <治療> • インターフェロン • グリチルリチン製剤 • 胆汁酸製剤 <注意> • C型肝炎と多量の飲酒が重なると症状が悪化 • 感染力が弱く、性行為で感染しない |
出典:日本成人病予防協会