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【第10回】高血圧の検査Ⅱ



自然治癒力とは「自分の力で病を癒し、治す自然の力」のことです。その自然治癒力を高めるためには「食事」、「運動」、「呼吸」、「心」が大切な条件になります。今回はその中で「食事」についてお知らせします。


1.高血圧の合併症


高血圧は、サイレント・キラー(忍びの殺し屋)といわれています。多くは特別な自覚症状のないまま進行し、やがて命にかかわるような合併症を引き起こすからです。しかし、全く自覚症状がないかといえば、そうではありません。急激に血圧が上がったりすると頭痛、めまい、肩こりなどを訴えることもあります。

そして、血圧の高い状態が続くと、知らない間に心臓や血管に強い負担をかけます。

そのため、10~15年経過すると、心臓や腎臓、血管などにさまざまな障害が現れるようになります。

 

高血圧が臓器に傷害を与えるのは、「動脈硬化」を促進させるからです。

長い間、高血圧の状態が続くと血管に過度の負担がかかり、それに対応して血管壁が厚くなり、傷つきやすくなり、傷ができると、そこにコレステロールが沈着し、血管の内腔を狭めてしまいます。こうして動脈硬化が進むと、流れにくくなり、心臓はより圧力をかけて血液を送り出します。

そのため血圧はさらに上がり、動脈硬化も進むという悪循環を起こします。

 

<高血圧の合併症>

脳卒中】
脳出血:動脈硬化によって、もろくなった血管に、高血圧による高い圧力が加わると、脳内の血管が破れて、大出血します。
脳梗塞:動脈硬化が進行して、脳の血管が詰まると、その部位より先に血液が送られなくなり、脳細胞が壊死します。

【腎不全】
腎臓は、血液を濾過する機能を持つ「糸球体」という組織の集合体です。糸球体に集まってくる細い血管に動脈硬化が起こると、血液が悪くなり、濾過機能が低下してしまいます。極端に機能が低下した状態が「腎不全」です。腎不全になると、濾過されるべき老廃物が体内に溜まり「尿毒症」へと進行することもあります。そのため人工的に血液を濾過する透析療法が必要になります。

【心筋梗塞】
心臓の筋肉に酸素や栄養を送っているのが、心臓を取り巻く「冠動脈」です。動脈硬化が進行して、この血管が詰まって血流が止まると酸素不足になり、心筋の細胞が壊死し「心筋梗塞」を発症します。

【心不全】
血圧の高い状態が続くと、心臓は常に高い圧力で血液を送り出しているため、次第に心筋が肥大していきます。心筋が厚くなると、心臓の収縮力が弱まり、十分に血液を送り出せなくなります。このように心臓の機能が低下した状態を「心不全」といいます。

<心筋梗塞を起こすリスクファクター>

高血圧
(収縮期血圧195mmHgをこえる場合)


高コレステロール血症
(総コレステロール値330mg/dlを超える場合)


喫煙

 

2.高血圧の予防法


血圧のを下げる基本は、ライフスタイルの改善です。毎日の生活で、血圧を上げるような要因を取り除くことが大切です。同時に肥満を取り除くことも念頭において、食事や運動に気を配るようにしましょう。

【食事のポイント】
●減塩を心がける
現在の日本人の平均塩分摂取量は12~13gです。高血圧を防ぐために、血圧の高くない人なら一日10g以下、高い人なら一日6g以下を目標にしましょう。

減塩のポイント
・市販の加工食品やインスタント食品は、塩分量が多いので控える。
・食卓に調味料は置かない
・酢、レモン、ゆずなどの酸味や香味(ごま、しそ、生姜など)を利用する。
・だし汁を生かし風味を良くする。
・ナトリウムを排泄させる、カリウムをたくさん摂る。
 (カリウムはバナナ、りんご、トマト、ほうれん草などに多く含まれる)

●肥満を解消する
肥満者は高血圧になりやすく、肥満でない人に比べて短命であるという統計もあります。したがって、肥満者は食事でのエネルギー摂取を控え、肥満を解消する必要があります。

 

【運動のポイント】

運動の効果
・血圧を下げる
・肥満の解消
・善玉のコレステロールを上げ、動脈硬化を防ぐ

【種類】●有酸素運動 ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、エアロビクスなど
【強度】●1分間の心拍数110~120程度
【頻度】●毎日30分、あるいは週3回、1回45~60分  無理なく長く続けられる運動を行うのが望ましく、長く続けても、一緒に運動している人と、ニコニコ話ができるようなペースで行います。


出典:日本成人病予防協会

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